別冊イチカレイカ

〆切のサブスク

病院の待合室がだいきらい

病院の待合室は最悪の空間だ。そもそも訪れるときは病気のときなので、印象はマイナスからスタートする。まず音楽がよくない、オルゴールアレンジの流行歌などという病院でしか聞かないような曲を病院で流さないでほしい。次に色。クリーム、ベビーピンク、ペールブルー。ダサい、終わっている。いっそ真っ白くしておいてくれ。さらに所狭しと貼られた統一感のないポスター類。有益と言えば有益だが、病院に来ているときぐらい他の病気のことは忘れたい。あと大きさもテンションも本当にバラバラで情報としてうるさすぎる。病人は静かに過ごしたい。拍車をかけるのが小物類。そこそこ読み古された雑誌、わずかに痛んだぬいぐるみ、引き出物としか思えない置き時計、百均のゴミ箱、ニトリの家具、カウンターの上には統一感のない受付札や診察券入れ、渡される問診票フィーチャリングどこかの製薬会社のバインダーとボールペン、企業ロゴは使い続けられてはがれかけ。ああ早く帰りたい。人工密度はそれなりに高く、一度席を立てば元の場所には座れないというのに、何度も何度も立ち上がる用事がある。保険証をお返ししますー、体温計お願いしますー。そしてなにより人である。いるのは病人、大多数老人、着飾ってくる人などいない。運転免許試験場の高齢者版、アズユーノウ最低。しかしながらよく考えると、コンビニが購買意欲をそそるようにできているのだから、病院の待合室は病気になりそうにできていて当然なのかもしれない。諦めて天井を仰げばIKEAの照明が下がっている。

今年買ってよかったもの2015

去年3000円目標を建てたけど家計簿辿れど辿れど今年もなんも買ってなくて笑った。書籍CDチケット宿泊交通食費以上終了。

Go! プリンセスプリキュア プリンセスパフューム
かわいい、優勝。音しなくていいからもう三周りぐらい小さいディティールアップ版でないかな。プリキュアオールスターズメモリアルよりは大きめの、現実味あるサイズで。あとカラビナもプラじゃないやつ欲しいです。あと世界制服作戦とエクセレントモデルの……違う話になってきたのでやめます。他に好きな変身アイテムはキュアモジューレです。

カワいろパレット シトラスラビット Tシャツ
またプリキュアかよ。はいプリキュアです。DATTEしょうがないじゃん。
まあこれ、うららさん髪の毛どうしてそこに巻き込んじゃったのとか、シトラスラビットってカタカナで書かなくてもよかったんじゃないかなとか色々あるけどもう、かわいいから! いいや!
イベントのときはだいたい着てる。多分冬も1日目は着る。どう考えても自spで浮くけど……いや黄色いからセーフかな……んなわきゃねえな……。
つかカワいろパレットはなんでもいいからiPhone5/5sのケースでしか出なかったあの絵柄でピンクとシトラスと紅白とサファイアのA4クリアファイル出してくれ頼むお願い何卒今から出すにはキャラ足りなくて無理なんだろうけどそこを! なんとか!!

思いの丈 7~9分袖
突然の実用品。いいよねこういう日本的な商品名。嫌いじゃないよオンリーのタイトルみたいで。
ワコール信者なんでほぼ毎年これ系買ってるけど(ヒートテック流行ったとき試したら文字通り肌に合わなかった、信仰は大切だ)、今年のこれはマジでサイコー。めっちゃ伸びるから背中が出ない! 袖口思いっきり引っ張れるから重ね着するとき袖が肘のあたりでごろごろしない! 襟からババチラしない! 身頃の合わせ目がないから着てて気持ちいい! やったー!

来年の目標は清水買い(この言葉最近知った)基準値である5000円な。

奇術に寄す記述

ここで書きたいのは私がどれだけ衝撃を受け、どれだけありがたく思っているかということであって、作品の紹介ではない。もうずっと何か言いたくてしかたなくて、でもうまくまとまらなくて、けれどももう今しかないだろと書き始め、それでもここまで二ヶ月かかった。

私にとってのマンガは、まず怪盗セイント・テール立川恵)から始まる。厳密に言うなら美少女戦士セーラームーンなのだろうが、あの作品は出会ったときすでにアニメ化されており、当時の私には全貌を掌握しきれない巨大な何かであったため少し異質だ。その点Stテールは連載開始をなかよし本誌で目撃したこともあり、一つの作品に執着するということを初めて経験したという意味で、より思い出深い。全サがあればStテールを選び、番外編が載ればるんるんも買った。21話は多分私が出会った初めての萌えだし、ソファの隙間に埋まって何度も何度も読み返していたのを今でも覚えている。真似して絵を描いたマンガは後にも先にもこれだけだ(数回で向いてないと悟ってやめた)。立川さんの作品は、Stテールの次に連載された夢幻伝説タカマガハラも同じくらい思い入れがあり、やっぱり21話は覚えるほど読んだ。今思うとタカマガハラの主人公を取り巻く五人はかなり恋シュミっぽい設定配分で、彼らには多大な影響を受けている気がする。だいぶ後になってからだが、番外編的な個人誌も買った。

次にHUNTER×HUNTER冨樫義博)があって、週刊少年ジャンプがあった。HxHは少女マンガに飽き始めていた私に異なるマンガの世界を見せつけ、またオタク側に突き落としもした、すべての要因と言っても過言ではない作品だ。考察と休載の概念を教えてくれたのはHxHだった。コミックスと本誌を追うのはもちろん、感想サイトを巡りアニメを録画しラジオを聞いてCDを買った。田舎がつらかった。それぐらい衝撃的なおもしろさだった。そしてそれが今も続いているのだから、本当にマジで頼むからどうか最後までお願いしますお願いしますお願いします……。今も続く長いジャンプ時代はこうして始まった。

それから数年、当時のメジャーどころを渡り歩くも、HxHほどのクリティカルヒットは出なかった。そんなものなのだろうかと思っていたある日、ふと思いついて買ったのがレベルEだ。HxHも幽白も読んだけど、これはまだだな、しかも全三巻じゃん。地元の本屋の棚の中、いかにも長い間ここにいますというそれをまとめて連れ帰った。結果、完全にセカンドインパクト。なんで今まで買わなかったんだ。同じ作者に二度も壁を壊されるなんて思ってもみなかった。なるほどこういうのもアリですね、マンガすごい、マンガおもしろい、おめでとう、おめでとう、やっとわかった、私はこういうのが読みたかったのか。このときから、好きなマンガを聞かれたら、レベルEと答え続けている。

その後も様々手を出しつつも、心穏やかな、逆に言えば驚きのない日々を何年か過ごしていた。だがしかし、事件はまたしても本屋で起きる。いつの頃からか販促として多く用いられ出した、試読見本。今でもあればあるだけ読むが、その場で購入即決は現状この作品だけ。それがファンタジウム杉本亜未)、今日の本題。この作品もHxH同様、次巻正座待機してたら脚の感覚なくなる系なのだが、こちらは先日めでたく最終巻となる九巻が出た(冒頭の今しかないはこのことだ)。ちなみに八巻が出たときは公式? ご本人? に補足されてヒッてなった。出会ったときには三巻まで出ていたのだが、その時点で話の丁寧さ、それによりもたらされる圧倒的な安定感に打ちのめされた。九巻まで読み終わり、やっと起き上がって、これを書いている。派手さはない、けれど、どこをすくっても人が生きている。主人公を起点に、人と人とが関わり、変化し、日々が続く。アニメーションでは静かすぎる、小説では重すぎる、この世界とこの空気は、マンガ以外では実現しえなかった。絶妙なバランスの上に成り立つ、濃い作品だ。

杉本さんについては、震えながら四巻を待っているときに、ちょっと別のも読むぞと思って調べて、なんかもうアッJUNEアッハイみたいな感じで買ったのが独裁者グラナダ。いやあ死ぬかと思った。表題作とBirthdayの二編収録でどちらも素晴らしいのだが、特にBirthdayはもうあっ、これ、これですだった。そしてさらにある日、偶然読む機会を得たちょい古めのマンガ一山の中に、空のアンテナ(1997年の方)があった。読んだ。死ぬかと思った(二回目)。もうこれ運命だろ。もちろんその後2010年に出た方を自分用に入手した。これだけの充実感を与えてくれる作家は一体世の中にあと何人存在して、私は死ぬまでにそのすべてを見つけ出して読むことができるのだろうか。そんな心配をするほどだった。なおこれを書きながら97年版と春やきぬらんを中古でぽちっている。覚悟が決まったのでANIMAL Xも今日大人買いしてこようと思う。アマイタマシイまで読んだら、ファンレターというものを書いてみたい。何を伝えればいいのか、全然、わからないけど。