別冊イチカレイカ

〆切のサブスク

普通の人はタイトルをつけない

一般的に人が名前をつけるのは、自分の子どもぐらいではないのか? そんなことってあるかよ……いや、考えてみればあるような気がする。幼いころはまだしも(モンデンキント!)、ハイティーン以降となるとその行為を繰り返す人種は限られてくる。もしかしたら、幼年期にすら試みない人も多いのかもしれない。小説を読まない人生をおくる人々の存在に気づいたことが記憶に新しい。

一部の人種は名付けを繰り返す。好きな物語に加わる自分の写し、真似て空想した別の世界、そこで展開する新しい物語。ペンネーム、サークル、本、ペーパー。端末、ハンドル、サイト、ブログ。名前は言わば皿である。ある程度決め打ちのものもあれば、料理ができてから探すこともある。気に入った皿に対してなにを盛るか考えることもある。手持ちで間に合うことも多いが、それは決してベストな選択とは呼べないだろう。一個の人間の名付けという大一番を迎える前に、皆もっと軽いものを繰り返して慣れるべきだ。さあテキストエディタを開いて妄想の練習から、はい!

今年買ってよかったもの2016

5000円なんてなかった。除外は本、チケット、プリキュアポルノグラフィティ

そのまま洗える衣類ケース
久しぶりに無印からクリーンヒット。ブルーとグレーを一個ずつ使っている。中身が見えすぎないし、マチがあるのでちゃんと四角形になり鞄に詰めやすい。ネットだから中身が少なくてもかさばらない。そしてなにより商品名の通り、帰宅即丸ごと洗濯できる。大昔に衣類圧縮袋を2回ほど使って、圧縮のできなさと使った後の洗いにくさに辟易し、以降ビニルのショップバッグを使い捨てにしてきたが、ついに一つの解にたどり着いた。

三矢製菓 レモネード 215g
たまたま見つけて名前が気に入ったので買った。会社の冷蔵庫の上に置いたら、わりとあっさり消費された。みんなこんな駄菓子食べるのかと謎の感動を覚え、それからしばらくの間切らさないようにした。気に入って食べ過ぎたからと代金を支払ってくれる人が現れたり、俺は森永派だとこっちを箱買いしてくる人が出たりと面白い体験をさせてくれた。ちなみに三矢のはクッピーと似た、原材料が砂糖・コーンスターチから始まるやつで、森永のはブドウ糖。サンタさん1kgの袋ください。

病院の待合室がだいきらい

病院の待合室は最悪の空間だ。そもそも訪れるときは病気のときなので、印象はマイナスからスタートする。まず音楽がよくない、オルゴールアレンジの流行歌などという病院でしか聞かないような曲を病院で流さないでほしい。次に色。クリーム、ベビーピンク、ペールブルー。ダサい、終わっている。いっそ真っ白くしておいてくれ。さらに所狭しと貼られた統一感のないポスター類。有益と言えば有益だが、病院に来ているときぐらい他の病気のことは忘れたい。あと大きさもテンションも本当にバラバラで情報としてうるさすぎる。病人は静かに過ごしたい。拍車をかけるのが小物類。そこそこ読み古された雑誌、わずかに痛んだぬいぐるみ、引き出物としか思えない置き時計、百均のゴミ箱、ニトリの家具、カウンターの上には統一感のない受付札や診察券入れ、渡される問診票フィーチャリングどこかの製薬会社のバインダーとボールペン、企業ロゴは使い続けられてはがれかけ。ああ早く帰りたい。人工密度はそれなりに高く、一度席を立てば元の場所には座れないというのに、何度も何度も立ち上がる用事がある。保険証をお返ししますー、体温計お願いしますー。そしてなにより人である。いるのは病人、大多数老人、着飾ってくる人などいない。運転免許試験場の高齢者版、アズユーノウ最低。しかしながらよく考えると、コンビニが購買意欲をそそるようにできているのだから、病院の待合室は病気になりそうにできていて当然なのかもしれない。諦めて天井を仰げばIKEAの照明が下がっている。